ただひたすら見てきたままを正直にお話ししようと思います。
やはり、この世には神様というものがいらっしゃるかもしれません。
でないと、あのタイミングであんなおじさんと出くわすことなどないと思うのです。
訪問先を目指してたまたま乗り換えの駅でありました、トロントの地下鉄Sheppard(シェパード)駅に降り立った我が夫婦。
時刻は、間もなく正午になろうとしていました。
目前にトイレがありましたので、本当に何の気なく、ネタを探してやろうなどという野望もなく男子トイレに入って行ったわたくし。
洗面台の数は2つ。
洗面台に背を向けるカタチで立って用を足す便器も2つありました。
入り口に近い方の便器を利用しようと入っていったのですが、奥の方の洗面台の前に、身長は175cmくらい、若干パーマが掛かった白髪頭で、あごひげも白髪、60代くらいですかねぇ、白人の細身のおじさんが立っていたのです。
皆さま、ここまでで終わりであれば、公衆トイレでのごくごくフツーの風景。
が、次の瞬間、わたくしは自分の目を疑ったのでございます。
白髪頭のおじさんは確かに立っていたのです、何と「上半身ハダカ」で。
本日の気温は18度。
大変に風が強かったので、体感気温は15度以下くらいじゃなかったでしょうか。
ですから、暑さのために脱いでいたのではありません。
では、そのおじさんは何をしていたのか?
男子トイレに入ってくる人たちが、皆一様に目を丸くする中、おじさんは上半身を洗っていたのです!
皆さん、どうか精一杯ご想像下さいね。
公共のトイレなんかで、手を差し出すと「センサー」が感知して、一定量の水が「ザーッ」と出て来るタイプの洗面台を。
あの自動で水が止まるヤツですね。
その洗面台を使って上半身を洗っているのですが、おじさんはまず、両手を蛇口の前に差し出し水を汲みます。
それからその手を胸の辺りに近づけ、グラビアアイドルが「手ブラ(手をブラジャー代わりにするポーズですね)」をするようなカタチで、腕をクロスさせながら擦って(こすって)洗うのですよ。
ここからはいいですか、見たままを「擬音」を交えて表現してみますね。
洗面台に手を差し出す。
水が「ザーッ」、両手で水をすくい、一瞬の内に手を胸の前で「手ブラ」のようにクロスさせ、「アッヒャッヒャッヒャッ」と何度か擦ります。
すぐに水がなくなってしまいますので、また、「ザーッ」、「アッヒャッヒャッヒャッ」、「ザーッ」、「アッヒャッヒャッヒャッ」の繰り返し。
用を足し、おじさんの隣りで手を洗いながら、ジーッと見ては失礼とは思いながらも、これほどのネタにはそうそう有りつけないので、ほとんど「ガン見」状態です。
最初は、失礼ながら「ホームレス」の方なのかなぁとも思ったのですが、駅構内ですから、乗車運賃のおよそ3ドルは払えていると。
身なりも、黒いリュックを足元に置いておりまして、その上には脱いだ白いTシャツを掛けている。
よく見れば、洗面台の中には透明のコップとそれに柄を差し込んで歯ブラシがありました。
それでも大きな「謎」は残るんですけどね。
トイレで歯磨きをするのは別におかしいことではありません。
しかし、歯を磨いていて、なぜに上半身まで洗いたくなっちゃったんだと。
もうねぇ、入って来る人、入って来る人全員が、ハトが豆鉄砲を食らったような目つきなんですよ。
ちょっと柄の悪そうなお兄さんなんかも、小さい子供のように目をまん丸にしてビックリしてましたもん。
トイレに入って来て、いきなりあり得ない光景を見せつけられているからでしょうね。
素になっちゃうと申しましょうか、一瞬固まっちゃうんですよ。
洗面台の周囲はビッチャビチャなんですけど、おじさんはそんなことは気にならないとばかりに、大真面目に体を洗ってらっしゃる。
下半身は黒いシャカシャカ系のズボンを穿いて(はいて)いましたし、靴もごくごくフツーの白いスニーカー。
そんなに汚れた格好でもなかったので、見ていてさほど嫌な感じはしなかったのです。
とにかく一生懸命体を洗っていたのですよ。
「ザーッ」、「アッヒャッヒャッヒャッ」、「ザーッ」、「アッヒャッヒャッヒャッ」。
手で水を汲んでは、「手ブラ」ポーズで洗っておりました。
面白いかどうかというよりも、トロントには本当にいろいろな方々がいらっしゃるという、ちょっぴり常軌を逸した「事実」をお伝えしたかったまでで。
本日は、地下鉄シェパード駅構内のトイレで見掛けたユニーク(?)なおじさんにつきまして、「リアルガチ」でご報告させて頂きました。
気になりますのは、洗った体は何で拭くのかということなんですけど。
タオルらしきものは見当たりませんでした。
もしもトイレットペーパーで拭いたとしたら、上半身にトイレットペーパーのカスが付いちゃったりして、いや〜笑っていられない光景に様変わり。
おじさんが体を拭いている姿は、想像しない方が好さそうですね。
それでは、また次回の「つぶやき」で。


